令和5年度(2023年)の技術士第一次試験〔建設部門〕に、初受験で合格しました(R5.11.26 受験 → R6.2.26 合格発表)。限られた時間のなかで合格できた一番の要因は、過去問の頻出傾向を先に整理してから解き始めたことだと思っています。この記事では、実際に行った科目別の勉強方針と、基礎・専門の頻出テーマの整理結果をまとめました。これから受験する方の参考になれば嬉しいです。
📌 この記事でわかること
- 基礎・適性・専門の科目別の勉強方針と、時間配分の考え方
- 基礎科目 1〜5群の頻出テーマ早見表
- 専門科目(建設部門)全14分野の出題数・目標得点・攻略メモ
- 実際に使った教材と、私の勉強スタイル
| 基礎科目 | 9 / 15 | 合格ライン(8問)クリア |
|---|---|---|
| 適性科目 | 11 / 15 | 合格ライン(8問)クリア |
| 専門科目 | 14 / 25 | 合格ライン(13問)クリア |
1. 全体の勉強方針
一次試験は「基礎・適性・専門」の3科目です。それぞれ解答すべき問題数と合格ラインが違うので、科目ごとに戦い方を変えるのがポイントになります。
| 科目 | 出題・解答方式 | 合格ライン | 私の方針 |
|---|---|---|---|
| 基礎科目 | 5群×6問 → 各3問選択 (計15問解答) | 8 / 15 | 群ごとに過去問を横断。各群3問取れればOK |
| 適性科目 | 15問すべて解答 | 8 / 15 | 全問対策。過去問+技術士法第4章を暗記 |
| 専門科目 | 35問 → 25問選択 | 13 / 25 | 出題数の多い分野に的を絞って学習 |
基礎科目 ― 分野を「縦」に解く
1〜5群を順番に全部やるのではなく、「1群だけを数年度分まとめて(例:R4年度〜H30年度)」のように縦方向で解いていきました。こうすると出題傾向と自分の苦手がはっきり見えてきます。どうしても理解できない問題は飛ばしてOK。1問に時間をかけるより、どんどん解いて量をこなす方が効率的でした。各群3問ずつ取れれば合格ラインに届きます。
適性科目 ― 全問解答なので過去問が必須
適性は15問すべてに解答する必要があるため、過去問をやるしかありません。初出題の問題もあるようですが、過去問の反復+技術士法第4章の条文暗記で対応しました。常識で解ける問題も一定数あります。
専門科目 ― 分野単位で傾向をつかむ
専門は範囲が広いので的を絞ります。いきなり35問を通しで解いても、どこで点が取れそうか分かりませんでした。そこで、「土質及び基礎(1〜4問目)」を数年度分まとめて解くといった分野単位の解き方に切り替えました。4問ずつなら短時間でも複数年度を回せますし、何より傾向が見えて、類似問題の多さに気づけます。トンネルのように毎年1問の分野なら、10年分でも10問。そこまで時間はかかりません。
💡 ポイント
過去問は「分野を縦に」解く。1群だけ・1分野だけを数年度まとめて解くと、出題傾向と自分の苦手が一気に見えてきます。これが限られた時間で合格するための一番のコツでした。
2. 使った教材
- 専門科目:ガチンコ技術士学園「過去問7回分+本年度予想 技術士第一次試験 建設部門対策」
- 基礎・適性科目:ユーキャン「技術士 第一次試験 基礎・適性 過去問完全解説&予想模試」
✏️ 私の勉強スタイル
ノートにきれいにまとめることはせず、問題集に直接書き込むスタイルで進めました。とにかく殴り書きして解く。まとめる時間があるなら1問でも多く解く、という方針です。2022年に受験予定で購入したテキストを、2023年の受験でもそのまま使いました(内容的に大きな支障はありませんでした)。
3. 適性科目の対策
- 15問すべてを解答。まずは8問確実に取ることを目標に。
- 特定分野に偏らず、まんべんなく出題される。
- 技術士法第4章の条文は暗記。過去問を繰り返し解いて覚える。
💡 暗記の核 ― 技術士法 第4章(技術士等の義務)
毎年の得点源です。3義務2責務を条文で押さえておきましょう。
① 信用失墜行為の禁止 / ② 秘密保持義務 / ③ 公益確保の責務 / ④ 名称表示の場合の義務 / ⑤ 資質向上の責務。
4. 基礎科目の対策
基礎は1〜5群、各6問中3問を選択して計15問を解答します。8問以上を確実に取れるように、頻出テーマを整理して過去問で対策しました。
- 1問あたり4分程度で解く練習をしておく。
- 解きやすい計算問題は「サービス問題」として確実に。時間がかかりそうなら潔くパス。
❗ 要注意
各群で3問を超えて解答すると失格になります。マークシートの塗り間違いには十分気をつけてください。
1群 | 設計・計画に関するもの
| 頻出順 | テーマ | 出題頻度 |
|---|---|---|
| 1 | 設計理論 | 毎年 |
| 2 | 費用対効果 | 毎年 |
| 3 | システム設計・信頼度 | ほぼ毎年 |
| 4 | 品質管理 | H25〜ほぼ |
| 5 | 製造物責任(PL) | H25 / H27 / H30 |
| 6 | ISO・JIS | H27 |
1〜4が毎年レベルの頻出なので重点的に。〈設計理論〉では、公差・限界ゲージ・投影法・心のバリアフリー・ユニバーサルデザイン7原則・弾性/塑性・オイラー座屈・固有振動数・製造物責任法 などが問われます。
2群 | 情報・論理に関するもの
| 頻出順 | テーマ | 出題頻度 |
|---|---|---|
| 1 | アルゴリズム | H26〜毎年 |
| 2 | 論理式 | ほぼ毎年 |
| 3 | 二進数・基数変換 | ほぼ毎年 |
| 4 | 論理演算 | ほぼ毎年 |
| 5 | 情報セキュリティ | 近年ほぼ毎年 |
| 6 | コンピュータ理論 | H25/26/28/29・R2 |
| 7 | 情報量(ビット計算) | H25/27・R1再/R2 |
| 8 | ベン図 | H25/27・R1再/R2 |
| 9 | 誤差 | H27 |
1〜5が頻出のため、ここを重点的に。
3群 | 解析に関するもの
| 頻出順 | テーマ | 出題頻度 |
|---|---|---|
| 1 | 応力 | ほぼ毎年 |
| 2 | 導関数 | ほぼ毎年 |
| 3 | 有限要素法 | ほぼ毎年 |
| 4 | 解析手法 | ほぼ毎年 |
| 5 | ばね 等 | ほぼ毎年 |
| 6 | 積分 | H28/H30・R1再 |
| 7 | ベクトル | H28 |
| 8 | 電気抵抗 ほか | H29 / H30 |
| 9 | 気体・流体 | R2 |
1〜5がほぼ毎年出題される頻出分野。重点的に解きます。
4群 | 材料・化学・バイオに関するもの
仕事柄あまり馴染みのない分野でした。3問取れればよいので、化学・材料で確実に得点し、バイオは深追いしない作戦です。
| 頻出順 | テーマ | 出題頻度 |
|---|---|---|
| 1 | 化学 | 毎年(各2問) |
| 2 | 材料 | 毎年(各2問) |
| 3 | バイオ | 毎年(各2問) |
5群 | 環境・エネルギー・技術に関するもの
| 頻出順 | テーマ | 出題頻度 |
|---|---|---|
| 1 | 環境 | 毎年 |
| 2 | エネルギー | 毎年 |
| 3 | 技術史 | 毎年 |
| 4 | 技術全般 | H25/26/28/30 |
| 5 | 知的財産 | H27 |
| 6 | リスクマネジメント | R1再 |
歴史上の技術者に関する問題は毎年出題されます。1〜3が頻出です。
5. 専門科目(建設部門)の対策
専門は35問中25問を選択して解答します。範囲が広いので、出題数の多い分野に的を絞るのが得策です。私は分野ごとに過去問を解いて傾向をつかみ、分野ごとの目標得点を設定しました。
出題傾向 × 目標得点 早見表
重点(出題数が多い):過去問中心に確実に得点 条件付き(出題数が少ない):類似問題・分かる問題を拾う 原則パス:当日わかる問題だけ
| 分野 | 出題数 | 目標 | 攻略メモ |
|---|---|---|---|
| 土質及び基礎 | 4 | 3 | 基本・調査・試験・用語はサービス問題。透水/地下水・斜面安定・計算が頻出 |
| 鋼構造 | 5 | 3 | 材料力学・静的構造力学の基礎。構造計算が毎年2問 |
| コンクリート | 3 | 2 | 劣化現象は毎年出題 |
| 都市及び地方計画 | 4 | 2 | 都市交通は比較的やさしい。難問は選択しない |
| 河川 | 4〜6 | 3 | ベルヌーイ・ピエゾ水頭・マニング式・合理式・堤防ドレーン工 |
| 砂防 | 2〜3 | 1 | 砂防施設を中心に出題 |
| 海岸・海洋 | 2 | ー | 波・流れ・施設・算定公式。余裕があれば |
| 港湾・空港 | 1 | 1 | 港湾と空港が交互。範囲が限られサービス問題化しやすい |
| 電力土木 | 2 | ー | 業務で扱わないためパス |
| 道路 | 1 | ー | 構造・設計分野が中心。分かれば解く |
| 鉄道 | 1 | 1 | 範囲が狭い。過去問が出ればラッキー |
| トンネル | 1 | 1 | シールド/山岳に限定。過去問が出ればサービス問題 |
| 施工計画 | 2 | 1 | 労働安全衛生・施工計画・工程管理に限定 |
| 建設環境 | 2 | 1 | 公害・環境アセス・指標。過去問類似が多い |
| 合計 | 35 → 25選択 | 目標 19 | 13問以上で合格 |
🎯 目標設計の考え方
目標の合計は19問。合格ライン13問に対して6問の余裕をもたせた設計です。取りこぼしや難問を見込んでも合格ラインを割らないように、「確実に取る分野」を厚めに設定しているのがポイントです。
💡 個人的な戦略(3色で色分け)
ガチンコ技術士学園のテキストを参考に、勉強する優先度を3色で色分けしました。
青(重点):出題数が多い分野。過去問メインで確実に得点する。
緑(条件付き):出題数が少ない分野。過去問と同類が出たとき/知識で分かるときに拾う。
オレンジ(原則パス):基本は解答しない。当日、知識的に分かる問題だけ拾う。
分野別のワンポイント
土質及び基礎(毎年4問/1〜4問目)
「土の基本・調査・試験・用語説明」は毎年のサービス問題。近年は透水・地下水、斜面の安定が出題され、公式・計算問題も毎年出る傾向です。
鋼構造・コンクリート(毎年8問=鋼構造5・コンクリート3)
各種断面諸量、はりの断面力図、はりのたわみなど、材料力学と静的構造力学の基礎知識が中心です。構造計算が毎年2問出題されます。
都市及び地方計画(毎年4問/13〜16問目)
都市計画の難問は選択しない方針。都市交通は比較的やさしい問題が多いので、そこで拾います。
河川・砂防・海岸・海洋(毎年9問)
河川の頻出キーワードは、ベルヌーイの定理/ピエゾ水頭/マニングの平均流速公式/合理式/堤防のドレーン工。まずはこのあたりを押さえます。
港湾・空港(毎年1問/25〜26問目)
港湾と空港が交互に1問。出題傾向がかなり限られており、チャンス問題です。
トンネル(毎年1問)
シールド工法・山岳工法(NATM)のどちらかが頻出。下記が出ればサービス問題として確実に取りにいきます。
📖 トンネルの頻出知識
山岳工法(NATM)
・軟弱な沖積層には適用しない。
・覆工は、掘削後に支保工で地山の変形が収束してから行う。
・ロックボルトの支保機能は、亀裂の入った中硬岩・硬岩地山では亀裂面に平行/直角方向の相対変位を抑制すること。軟岩・未固結地山では、主にトンネル半径方向(壁面と地山内部)の相対変位を抑制すること。
シールド工法
・砂・粘土・岩盤などさまざまな地質でトンネルを造れる工法。周辺環境への悪影響を抑えられ、都市部でも安全に施工できる。地下水が豊富な場所でも施工可能。
・テールボイド:セグメントと地山の間にできる空隙のこと。
施工計画・施工設備・積算(毎年2問/32〜33問目)
工程管理・仮設計画・安全管理で類似問題が多い分野です。
建設環境(毎年2問/34〜35問目)
環境アセスメントが頻出です。
6. まとめ
- 一次試験は「基礎・適性・専門」で戦い方を変える。合格ラインは各科目50%(基礎8/適性8/専門13)。
- 過去問は「分野を縦に」解く。傾向と苦手が見え、類似問題の多さに気づける。
- 基礎は各群3問取れればOK。頻出1〜5テーマに絞る。3問超え解答は失格に注意。
- 適性は全問解答。技術士法第4章(3義務2責務)の暗記が得点源。
- 専門は出題数の多い分野に的を絞り、目標得点を設計(私は19/25狙いで、合格ライン13に6問の余裕)。
- ノートづくりより「問題集に書き込んで解く量」を優先。
限られた時間でも、傾向を先に整理してから過去問に取り組めば、初受験でも十分合格を狙えます。これから受験される方の参考になれば嬉しいです。
※本記事は筆者が学習用にまとめた個人の備忘録です。試験制度や出題傾向は変更されることがあります。受験の際は、必ず日本技術士会などの最新の公式情報をご確認ください。
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