暑中コンクリートは、技術士第二次試験 建設部門〈鋼構造及びコンクリート〉選択科目Ⅱ-1のなかでも、H22・R1・R7と繰り返し問われている必須準備テーマです。裏を返せば、書けなければ致命傷になる問題ともいえます。
この記事では、令和7年度Ⅱ-1-3を題材に、以下を整理しています。
- 600字(24字×25行)で仕上げた解答例(原稿用紙イメージ)
- 覚えるべき定義・管理基準値と、高温がもたらす5大リスク
- ①材料〜⑤養生の対策5段階+理由(そのまま答案の骨格になります)
- 出題実績 H22 / R1 / R7
- 選択科目Ⅱ-1
- 600字×1枚
- コンクリート標準示方書[施工編]2023年制定
1. 令和7年度 Ⅱ-1-3 の問題文
[R7]Ⅱ-1-3
都市部での排熱やヒートアイランド現象等の影響により、暑中期に構築するコンクリート構造物の品質低下やコンクリート工事に関わる作業員の熱中症等の発生リスクが近年増大している。
暑中コンクリートの定義を述べよ。また、場所打ちコンクリートを対象とし、①材料選定、②配(調)合計画、③製造・運搬、④打込み・締固め、⑤仕上げ・養生の5項目から2項目を選び、暑中コンクリートにおけるトラブルを防止しコンクリート構造物に要求される品質を確保するための具体的な方法をそれぞれ述べよ。
出題文の読み取りポイント
- 問われているのは「定義」+「5項目から2つ選んで具体的方法」の2点構成。この骨格を外すと題意を外した答案になります。
- 「場所打ちコンクリートを対象とし」と限定されているため、工場製品を前提とした記述は不要です。
- リード文に熱中症が明記されています。設問本文は品質確保を問うていますが、余白があれば安全衛生管理に触れると出題背景に応えた答案になります。
2. 解答例(600字・24字×25行)
実際に手書き練習で使っている解答例です。選んだのは③製造・運搬と④打込み・締固め。この2項目は具体的な数値基準(1.5時間・35℃・2.0時間)を盛り込みやすく、専門知識の深さを示しやすいためです。
参考文献:2023年制定 コンクリート標準示方書[施工編] 10章 施工環境等に応じたコンクリート工/10.1 暑中コンクリート
この解答例の骨格
| ブロック | 書いていること | ねらい |
|---|---|---|
| 1.定義(6行) | 示方書の定義+高温下で高まるリスクの列挙 | 設問の第1要求に直答。ここでリスク語句を先出しし、後半の対策の必然性をつくる |
| 2.(1)製造・運搬 | 1.5時間以内/35℃以下/プレクーリング/遮熱カバー | 数値基準+固有名詞で専門性を示す |
| 2.(2)打込み・締固め | 夜間・早朝施工/打継面の湿潤保持/2.0時間以内/タンピング・再振動 | コールドジョイントとプラスティック収縮ひび割れの両方を潰す |
書き方のルール(手癖にしておく)
- 1文は解答用紙2行以内。長くなったら「〜する。」で切る。
- 対策には必ず理由を添え、「〜のため。」「〜のためである。」で終える。
- 「①材料選定」のように設問の項目番号と語句をそのまま見出しに使うと、採点者が対応関係を追いやすい。
- 定義は「コンクリート標準示方書において」と出典を明示してから書く。
3. まず覚える:定義と管理基準値
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 定義 | 日平均気温が25℃を超えることが予想される場合には、暑中コンクリートとして施工する。 |
| 原理・背景 | 打込み時の気温が30℃を超えると諸性状の変化が顕著になる。 |
| 打込み時温度 | コンクリート温度の上限は原則 35℃以下。 |
| 練混ぜ〜打終わり | 1.5時間以内。 |
| 許容打重ね時間間隔 | 外気温25℃を超える場合は 2.0時間以内。 |
| 温度低減の目安 | コンクリート温度を1℃下げるには、セメントは8℃、練混ぜ水は4℃、骨材は2℃の低下が必要とされる。 |
数字の覚え方
25 → 30 → 35(定義の日平均気温 → 諸性状変化の気温 → 打込み時コンクリート温度の上限)と5℃刻みで並べて覚えると混同しません。時間は「運搬1.5/打重ね2.0」とセットで。
骨材の温度低下が最も効く(2℃下げれば1℃下がる)のは、コンクリート中で骨材の質量割合が最も大きいためです。プレクーリングで骨材散水が定番なのはこの理由から、と押さえておくと応用が利きます。
4. 高温がもたらす5大リスク(連想チェーン)
暑中コンクリートは「なぜ対策が要るのか」を語れるかどうかで差がつきます。原因 → 現象 → 不具合のチェーンで覚えます。
- 高温による水分蒸発の促進・セメント水和の加速 → スランプ低下(スランプロス) → 流動性が失われ充填不良
- 連行空気量の減少 → 所要の空気量が確保できず凍害リスクの上昇
- 早期凝結 → 下層が硬化する前に上層を打ち込めない → コールドジョイント
- 露出面からの水分の急激な蒸発 → プラスティック収縮ひびわれ
- セメント水和熱の増大 → 内外温度差の拡大 → 温度ひびわれ
定義パートの1〜2文でこの5つを触れておく
解答例の3〜6行目が、まさにこのリスクの列挙です。ここで「スランプ低下・連行空気量の減少・コールドジョイント」を先に出しておくと、後半の対策が「そのリスクを潰す手段」として自然につながり、答案全体の一貫性が生まれます。
5. 対策5段階(①材料 〜 ⑤養生)
設問はこの5項目から2つを選ばせる形式です。どれが出ても書けるように、5つすべてを「方法+理由」のセットで用意しておきます。
① 材料選定
冷水や氷水の使用等で材料温度を下げる。あわせて遅延型の減水剤・AE減水剤・高性能AE減水剤を選定する。
▶ 理由:高温下での急激な凝結を遅延させ、コールドジョイントを防ぐとともに、スランプ低下を抑制してワーカビリティーを確保するため。② 配(調)合計画
所定の強度およびワーカビリティーの範囲内で、単位水量および単位セメント量をできる限り少なく設定する。
▶ 理由:水セメント比を一定として単位水量を増加させると単位セメント量も増え、水和熱に起因する温度ひびわれが発生しやすくなるため。③ 製造・運搬最重要
練混ぜから打終わりまでの時間は1.5時間以内とする。トラックアジテータのドラムに遮熱塗料を施す、カバーを装着・散水するなどして直射日光の影響を低減する。
▶ 理由:暑中では運搬時のコンクリートの温度上昇・乾燥が大きくなるため、スランプの低下を抑制して円滑な打込みを可能にするため。④ 打込み・締固め最重要
打込み前に地盤・型枠・打継面等を湿潤状態に保つ。外気温が25℃を超える場合の許容打重ね時間間隔は2.0時間以内とする。
▶ 理由:乾燥した型枠等への吸水によるコンクリートの流動性・充填性の低下を防ぐとともに、コールドジョイントの発生を防止するため。⑤ 仕上げ・養生
打込み完了後は直射日光や風から保護し、速やかに湿潤養生を開始する。
▶ 理由:露出面の急激な乾燥によるプラスティック収縮ひびわれを防止するとともに、内外の温度差による温度ひびわれを抑制するため。2項目を選ぶときの考え方
- ③製造・運搬と④打込み・締固めは、示方書の数値基準(1.5時間・2.0時間・35℃)を直接書けるため、点数を取りやすい組合せです。
- ③④を軸に、答案の余白に応じて①材料(遅延型混和剤)や⑤養生(湿潤養生)の要素を1文だけ差し込むと、内容に厚みが出ます。
- 覚え方は「材 → 配 → 製 → 打 → 養」。施工の時系列そのままなので、本番で項目を落としません。
6. 留意事項(余白があれば加点を狙う3点)
A|打込み時間帯の変更
外気温が高くなる日中の打込みを避け、早朝または夜間に打ち込む計画を立案する。
▶ 理由:配合修正等の対策では限界があり、工期・周辺環境の制約も考慮したうえで、品質低下の要因を根本から排除するため。B|熱中症対策・安全衛生管理
作業時間の短縮、作業員の増員、作業環境の改善等を含めた対策を実施し、時間的余裕をもって施工が行える体制を整える。
▶ 理由:高温環境下では作業効率が低下しやすく、打込み・締固め作業に遅れが生じ、作業が粗雑になって構造物の品質を損なう不具合を防ぐため。C|現場内の温度上昇抑制
コンクリートポンプのホッパに日よけを設ける、輸送管を湿らせた布で覆う、トラックアジテータを日陰で待機させるよう配車管理を行う。
▶ 理由:直射日光を受けた管内の温度上昇により管内圧力が大きくなって圧送が困難になること、および管内閉塞等のトラブルを防止するため。R7の出題背景に応える一言
R7の問題文はヒートアイランド現象と作業員の熱中症から書き起こされています。品質確保が主題なのでBを主役にはしないのが原則ですが、「熱中症対策により作業の粗雑化を防ぎ、品質を確保する」と品質に接続する形で1文添えれば、出題意図を汲んだ答案になります。
7. 答案に入れたいキーワード集
- 適用基準
- 日平均気温25℃超打込み時気温30℃超で諸性状変化が顕著
- 管理基準値
- 打込み時35℃以下練混ぜ〜打終わり1.5時間以内打重ね時間間隔2.0時間以内(25℃超)
- リスク語句
- スランプロスコールドジョイントプラスティック収縮ひびわれ温度ひびわれ連行空気量の減少充填不良
- 材料
- 遅延型AE減水剤高性能AE減水剤冷水・砕氷の使用プレクーリング
- 施工・運搬
- トラックアジテータ遮熱塗料カバー・散水型枠・地盤・打継面の湿潤保持タンピング再振動締固め
- 養生
- 速やかな湿潤養生の開始直射日光・風からの保護
8. まとめ
- 暑中コンクリートはH22・R1・R7と繰り返し出題されている、Ⅱ-1の必須準備テーマ。
- 答案の骨格は「1.定義(+リスク列挙)」+「2.選んだ2項目の具体的方法」。設問の項目番号をそのまま見出しに使う。
- 暗記の核は25 / 30 / 35℃と1.5時間 / 2.0時間。ここを外すと専門性が伝わらない。
- 対策は必ず「方法+〜のため。」のセットで書く。5段階すべてを用意しておけば、どの2項目を指定されても対応できる。
対になるテーマが寒中コンクリート([R5]Ⅱ-1-4)です。日平均気温4℃以下という定義、初期凍害、5〜20℃の打込み温度など、暑中と対で覚えると定着が段違いなので、こちらも別記事で整理する予定です。
参考文献
・2023年制定 コンクリート標準示方書[施工編] 10章 施工環境等に応じたコンクリート工/10.1 暑中コンクリート
※本記事は筆者が学習用にまとめた個人の備忘録です。試験対策としての正確性を保証するものではありませんので、必ず最新の示方書等の原典をご確認ください。
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